へたうまに乗る

自分で描いたへたなイラストを挿絵に日々の出来事を切り取って紹介します。

ブラジリアンワックスとバンジージャンプは精神的によく似ている

ブラジリアンワックスをご存知だろうか。

簡単に言うと固形のワックスを電子レンジで温めてドロドロにした後、脱毛したい部分に塗りたくり、冷えて固まったワックスをはがすことで体毛を抜くことができる美容アイテムだ。

専門のサロンで行うのが一般的なようだが、ワックスは通販サイトでも安価に手に入れることができる。

美容のため、というよりは単なる興味から手を伸ばしてみた。

今回脱毛に挑む部位にはYライン、Oライン、Iラインを選択した。

「Yライン」とは、端的に言うと股間上部。ヨーロッパではこの部位のALL脱毛は一般的だそうだが、ここはin JAPAN。
流石にALL DATSUMOUする勇気はなかったので、パンツからはみ出る上部のみの脱毛にする。

「Iライン」とは、男性のシンボルから菊の紋にかけての部分で、「Oライン」は菊の紋の周辺部分です。

巷ではこのような部位の脱毛を『デリゾ脱毛』というらしい。

ちなみに勘違いしてもらっては困るので宣言しておくが、私は身も心も男である。

 

早速ワックスの容器ごと電子レンジで温めると、緑色のワックスはドロドロを通り越してサラサラになった。

付属していたアイスクリーム食べるときに使う木のヘラで熱々のワックスをすくい上げ、秘部付近に塗り当てたところ

「ゔあああああああああっづ!!!!!」と叫び声をあげながら飛び上がった。

どうも電子レンジで温め過ぎたらしい。

秘部付近に大ダメージを負った私は「もうお嫁に行けない…」などとお約束の三文芝居を一人でこなし、再度チャレンジすることにした。

ちなみにこのときの服装は裸だ。

下半身に衣服をつけないことはもちろん、上半身の服にもワックスがついては困る。
恥ずかしさなど頭ないので服を全てぎ処理を行うことにした。
『脱毛』だけにってやかましいわ。


木ベラで熱々のワックスをすくい取り、先の失敗を踏まえ「ふーふー」してからおそるおそるIラインにそっとワックスをあてた。

「うあ”っつ!」と声を上げつつも、先ほどの衝撃に比べるとましだったので我慢して5cmほど薄く塗り伸ばした。

普段の生活では常に隠して過ごし、物心着いてからは親にも触らせたことのない秘部が暖かな感触に包まれる。

…冷え固まるのをしばらく待ち、さあ剥がしてみるかとワックスの端っこをつまみ、
少し力を入れたところでピタリと手が止まった。

どう考えてもめちゃくちゃ痛い。

ガムテープをすねに貼り付け、一思いに剥がすという体験を日本男児なら3人に1人は体験したことがあるだろうが、
あれを秘部で行うのである。

冷静になると恐ろしさが襲ってきた。

かといってこのままワックスをつけたまま過ごすわけにはいかない。

気合いを入れ、肌に塗ったワックスの端をつまみ直し、少しずつ剥がそうとするが、痛いものは痛い。

一気に剥がそうものなら痛みで気絶しかねないが、気絶するわけにもいかない。

気絶しようものなら、外出から帰ってきた家族は裸のまま動かない私を発見するわけで、しかも手にはちりちりの毛がついた得た知れない固形物を握りしめているわけで、
運が良くて救急車、悪ければ警察を呼ばれかねない。


この時点で私に残された選択肢は「正気を保ったままワックスを剥がす」しかなくなった。

行くも地獄、戻るも地獄とはこのことである。

徐々に剥がすと痛みが襲ってくるので、思い切って一気に剥がすことにした。

そのときの映像を今回特別にお見せしよう。

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緊迫感と”覚悟”が伝わっただろう。

心を決め、カウントダウンを始める。

「スリー! ツー! ワン! バンジーッ!!!!!」


私は大学時代のサークル旅行を思い出していた。

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場所は岡山県鷲羽山ハイランド

当時怖いもの知らずだった私は当テーマパークでバンジージャンプに挑戦することにした。

「え?むしろなんで飛ばないの?」的なスタンスで。さも当たり前のようにバンジージャンプのエリアに向かい、「大人1枚」といったノリで係員にお金を払ってバンジーに参加することになった。

バンジージャンプなんて大したことではないとタカをくくっていたが、安全ベルトの説明を真剣に行う係員の姿や『何か起こっても自己責任だからネ☆」と書いた誓約書を見ているうちに「もしかして結構おおごとではないのか…」と急に不安になってきた。

そしていざジャンプをするということで、ジャンプ台に向かう階段を登っていると
(あれ?結構高くね)
(そういえば俺高いところ苦手じゃね)
(なんでここに来たんだ?)
(でももうお金返ってこないんだよな、1500円。)
(飛ぶことに意味があるのか?)
(あ、みんな見てる)
と自問自答の末、階段を登りきった。

ジャンプ台に到着し、安全器具を『しっかり』と装着していただき、あとは飛ぶだけとなった。

下では友人たちがこちらを見上げている。

ここまで来ると引き下がるわけにはいかない。が、飛ぶのは本当に恐ろしい。

ひきつった顔で静止していると係員が
「みなさーん!勇気をあげるために掛け声をかけてあげましょう!
 合図はスリー、ツー、ワン、バンジーでーす!」
とアナウンスをしてくれた。大きなお世話だ。

行くも地獄、戻るも地獄である。

そしてその時はやってきた。

「「「スリーッ!!」」」
(いやいやいやいやっ)

「「「ツーッ!!!」」」
(無理無理無理無理っ)

「「「ワーンッ」」」
(あwsdftgyふじこlp;@:)

「「「バンジーッ!!!!!」」」
(         )

気づけば私は頭を逆さにし、空に向かって昇っていた。
ジャンプ(正確には両足を地面につけたまま前のめりに倒れこむ)時の記憶が途切れており、
『びよ〜〜〜ん」とゴムが伸びたあとに空に向かって縮むところで気を取り戻した。


見ていた友人が語るには
「落下姿勢が乱れずきれいだった」とのこと。

真実は恐ろしすぎて硬直していただけだ。

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バリバリバリッ!!!
とワックスを肌から引き剥がすことに成功した。

ワックスには何十本もの毛が張り付いていた。

やった…! 私はやったぞおおおおおおおお!!!!!

歓喜の瞬間である。

引き剥がすまでは恐ろしかったが、自身でカウンドダウンを唱え、
『いかざるを得ない状況』を作り出すことで恐怖を克服する術を身につけた。

その後も「バンジーッ!!」の掛け声のもと脱毛を続け、
最終的には『トゥルットルッ』の肌を手に入れることに成功した。

ブラジリアンワックスでの脱毛はよほど肝っ玉の据わった人以外にはおすすめできない。
例えば「ムダ毛だ。摘もう」と迷いのなく引き抜くことができる方以外はブラジリアンワックスに気軽に手を出さない方が賢明かもしれない。

脱毛』だけに。おあとがよろしいようで。